シンガポール便り 2000年1月8日
- アマゾンドットコム恐るべし -

(前書き削除)

この正月はずっとシンガポールで過ごしています。とは言っても当地ではミレニアムのカウントダウンがあったぐらいでお正月気分はあまりありません。31日の金曜日は半ドンでしたが明けて3日の月曜日からは全く普段と変わらず、新年の挨拶をする訳でなくいつもの月曜日と同じでした。やはり旧正月が本命なのでしょう。

きょうはイスラム暦の元旦だそうです。今年は三つの正月が同じ時期に重なっています。カレンダー暦の1月1日、ラマダン明けの今日,そしてチャイニーズ正月の2月5日です。また偶然にも三日とも土曜日と重なっています。ラマダン月はイスラム暦の第9月ですので第10月の一日である今日は正確には正月とは言えませんが当地およびマレーシアでは心理的にはラマダン明けが一年の区切りの様です。ハリ・ラヤの日と言い、マレー系の人達は家の大掃除を済ませ、盛大な料理を用意して晴れ着に身を固めて親戚,友人などを訪問し合うのだそうです。確かに通りでピカピカの服を着て頭をショールで包んだ女性達や黒のつば無しの帽子(インドネシアのスカルノがかぶっていた、あの台形をした帽子です)をかぶった男性達を沢山見かけました。
  イスラム暦では単純に新月から次の新月までを一月とし12ヶ月で一年,閏月等の調整をしないのでカレンダー年と比べると毎年前の方に少しづつずれて行きます(約11日)。従って次のハリ・ラヤは12月28日頃と言うことになります。

さて本題に入ります。先日、イギリスで製作されたあるテレビドラマ(Ginger Tree)の結末が知りたくてインタネットのYahooで検索をかけました。同名の小説があることが分かりアマゾンドットコムのその本の紹介ページにいきあたり著者とかあら筋を知ることができたわけですが、ビデオやCDも扱っていたので試しに登録されていそうもないメキシコやスペイン製の古い映画の題名を幾つか入れて検索してみると驚いた事にほとんど出て来るではありませんか。GingerTreeが出て来た事にも驚きでしたが、たまたまテレビから録画して持っている有名とはとても思えないマイナーな映画がちゃんと登録されていてビデオやDVDの有る無し、主な出演者,粗筋などがわかるようになっているのです。

ここまではさほど大した話ではないのですが問題はこの後です。小説 Ginger Tree を買おうとして高島屋ビル内に去年の夏開店した紀伊国屋に探しに行きました。この紀伊国屋は洋書が主体で自称シンガポール最大規模を誇る当地としては巨大な書店で、最初行った時には店内で道に迷ってしまったほどです。この店なら置いているだろうと思ったわけですが残念ながら見つからず案内で調べてもらいました。結局店に無く注文の手続きをと言うことになったのですが、店員はなんとアマゾンドットコムのサイトにアクセスしてこの本の表紙を見せて、”この本で間違い無いな”と確認を求めるでは有りませんか。アマゾンドットコムに注文するのかと聞いたところ、”いや本の存在を確認する為に使っているだけだ”との答え。まずシンガポール内で探し、なければ出版元に注文するのだそうです。

アマゾンドットコムにアクセスするのはそのデータベースが充実しているからなのでしょう。この様に世界中の本屋さんがアマゾンドットコムにアクセスしているとすると大変なことです。確認に利用するだけでなく、いずれ実際にアマゾンドットコムに注文するようになると思います。めったに売れない本を置いとくより売れる本だけ置いてあとはアマゾンドットコムのような本屋の本屋的な役を果すところに取り次いだ方が店の経営が楽なはずだからです。こういうのがドンドン進むと、書店に並ぶのは週刊誌だけ、それ以外はインタネットでと言うことになりそうです。
あるいは本屋さんもコンビニに統合されて純粋な本屋は消滅するのかも知れません。

アマゾンドットコム恐るべし。インタネット恐るべしです。

(以下削除)

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